労働者派遣事業報告書の書き方と作成ポイント

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派遣事業をおこなう事業者であれば、毎年6月末日までに必ず提出しなければならないのが「労働者派遣事業報告書」です。

この「労働者派遣事業報告書」は多くの項目を報告する必要があり、作成はなかなかに煩雑な作業です。

具体的にはどのような手順で何を作成すれば良いのでしょうか。

今回は「労働者派遣事業報告書」の書き方と作成のポイントをご紹介します。

 

労働者派遣事業報告書とは?

まずは「労働者派遣事業報告書」の概要についてご説明しましょう。

 

どのような書類?

「労働者派遣事業報告書」とは、毎年6月末までに都道府県労働局に提出することが義務付けられている書類です。

派遣事業の業績のほか、自社で抱える派遣スタッフの勤務状況、労働環境の安全面や衛生面、キャリアに関する支援状況などを細かく報告する必要があります。

労働者派遣の実績がない場合でも、労働派遣事業報告書を提出しなければなりません。

 

何のための書類?

「労働者派遣事業報告書」は、派遣事業が正しく運営されているか、派遣労働者の労働環境や待遇がしっかり守られているかを把握するための書類です。

派遣労働者が安定した雇用や安心して働ける環境を提供するための法改正に伴い、派遣事業者への規定も細かくなりました。

派遣法改正以前は、年に2度、年度報告と状況報告に分けて労働派遣事業報告書の提出が義務付けられていましたが、これらが一つにまとめられ、より詳細な事業状況の報告として「労働者派遣事業報告書」の提出が必要となりました。

 

未提出や虚偽申告の罰則は?

労働者派遣事業報告書の提出は法律で定められているため、事実と異なる虚偽の報告や提出をしなかった場合には厳しい罰則が設けられています。

「労働者派遣事業報告書」が提出期限を過ぎても提出されなかった場合で、労働局から必要事項の報告の求めがあったにもかかわらず報告をしなかった、または虚偽の報告をした場合は30万円以下の罰金に処せられる可能性があります。

そのほか、以下の場合には罰則が設けられているので労働者派遣事業報告書を作成するときにはよく内容を確認するよう注意しましょう。

 

<事業報告に労使協定を添付しなかった場合は30万円以下の罰金>
2020年の法改正により、罰則の対象に「『労働者派遣法第30条の4第1項に定める協定を締結した派遣元事業主が、当該協定を事業報告書に添付して提出しなかった場合』という一文が追記されました。

労使協定とは、派遣労働者の不合理な待遇差をなくすために規定を整備する目的で締結する協定のことです。

労使協定方式を採用している事業者は必ず労働者派遣事業報告書に添付するよう注意しましょう。

 

<派遣先が労働者の情報を派遣元に提供しなかった、または虚偽の情報を提供した場合>
派遣先が派遣元に派遣労働者の情報を提供しなかった場合、派遣先は労働局からの勧告・企業名公表の対象となります。

また、情報提供を受けずに労働者派遣事業報告書を作成した派遣元も派遣許可取り消し、事業停止命令、改善命令を受ける可能性があります。

情報提供書類は3年間の保管義務があるため、紛失してしまったなどの理由でも罰則を逃れることはできません。

情報提供書類はしっかり3年間保管しておきましょう。

 

<不合理な待遇の禁止に違反した、待遇の説明をしなかった場合>
派遣労働者が、派遣先で雇用されている労働者と同様の業務をおこなっているにも関わらず、基本給や賞与などに不合理な待遇差があってはならない、と労働者派遣法第30条で定められています。

この規定に違反していた場合、派遣事業許可の取消し、事業停止命令、事業改善命令の対象となってしまいます。

また、派遣労働者に対してこの待遇の事前説明をおこなっていない場合も同様の罰則の対象となります。


<トラブル解決のため公的機関等を利用した派遣労働者に不利益な扱いをした場合>
派遣元と派遣労働者の間でトラブルが起きた際に、相談や斡旋などの援助を求めて公的機関を利用した派遣労働者に対して解雇や不利益な待遇の変更をした場合も、派遣事業許可の取消し、事業停止命令、事業改善命令の対象となります。

 

労働者派遣事業報告書の作成に必要な資料

前章では「労働者派遣事業報告書」は正しく作成しなければ、さまざまな罰則を受けるリスクがあることごご紹介しました。

それでは労働者派遣事業報告書をミスなく作成するために必要な資料を確認してみましょう。

 

<直近の決算報告書>
自社事業の売上報告欄を記入するために直近の決算報告書が必要です。

<労働者派遣事業個別契約書>
自社で抱える派遣労働者の人数や、有期雇用・無期雇用それぞれの人数、雇用期間、派遣先で従事する職種など細かな報告が必要です。
個別の契約書を用意し、自社で抱える人材の契約内容を全て把握できるよう整理しておきましょう。

<雇入れ時又は配置転換時の安全衛生教育実施記録>
安全衛生教育の実施記録についても報告が必要です。
いつ、誰に、どんな内容の安全衛生教育を実施したか、どのくらいの時間をかけたか、などの記録をまとめておきましょう。

<派遣元管理台帳(キャリアアップ教育、雇用安定措置)>
安全衛生教育同様に、キャリアアップに関する教育や雇用が安定するための措置についても詳細を報告する必要がります。
教育指導をおこなった者や責任者、誰にどどんな内容の教育を実施したか、実施状況を記録しておきましょう。

<その他の教育訓練実施記録>
派遣労働者に対して、安全衛生やキャリアアップの以外の教育をおこなっている事業者は、その内容も労働者派遣事業報告書に記載するため記録しておきましょう。

<総勘定元帳(派遣先事業主取引額確認の為)>
労働者派遣事業報告書には、自社の主な派遣先を記入する項目もあります。
取引額の上位5社の社名や住所を明記する必要があるため、総勘定元帳を用意しておきましょう。

<派遣料金請求書>

派遣料金を業種ごとに記入する項目もあります。
各業種ごとに派遣料金を確認できるよう請求書を整理して用意しておきましょう。

<雇用保険・社会保険通知書等>
自社で抱える派遣労働者、それぞれの雇用保険・社会保険の加入状況も報告が必要です。
雇用見込み期間、有期・無期契約などに分けて記入するため、個別の加入状況が把握できるように書類を整理しておくと良いですね。

 

労働者派遣事業報告書の書き方

厚生労働省や各都道府県労働局のホームページから書式データをダウンロードすることができます。

令和2年度より書式が変更されたため、旧書式では労働者派遣事業報告書を受理してもらえません。

必ず最新の書式で労働者派遣事業報告書を用意するよう注意しましょう

労働者派遣事業報告書を作成する際は、ダウンロードした書式の入力項目に沿って必要な情報を入力していきます。

では、作成の際に注意すべきポイントを次章で確認していきましょう。

 

労働者派遣事業報告書の作成ポイント

労働者派遣事業報告書は、自社の事業状況を報告するものなので事実に沿って作成していきますが、気付かぬうちに規定違反や禁止事項に該当してしまうこともあります。

下記で挙げるポイントをしっかり確認しながら、自社の事業が正しく運営されているかを改めて見直してみましょう。

 

禁止業務への派遣、日雇派遣の原則禁止に該当する派遣の有無をチェック

派遣事業では、港湾運送業務や、建設業務、警備業務、弁護士や社会保健労務士などのいわゆる士業に労働者を派遣することは原則禁止とされています。

また、日雇派遣も一部の例外をのぞき原則禁止となっています。

 

グループ企業への派遣割合をチェック

グループ企業への労働者派遣は8割以下にする必要があります。

多くの事業を展開する大企業の子会社として、派遣事業をおこなっている場合は、グループ企業への派遣が主になるケースが多くありますが、8割を越えないよう注意しておきましょう。

 

抵触日をチェック

派遣労働者は同じ組織で3年をこえて働くことはできません。

この派遣期間が切れた日の翌日を抵触日といいます。

個人単位での期日、事業所単位での期日それぞれ、法で定められた派遣期間を越えて就労している派遣労働者がいないかチェックしましょう。

 

関連記事:
人材派遣業の皆さん、抵触日の管理はできていますか?

 

適切な情報提供の有無をチェック

派遣事業者は、派遣先にも自社で抱える派遣労働者にも、正しい情報を提供する義務があります。

派遣労働者に対しては、公平で適切な職業の選択肢を提示する必要がありますし、派遣先にはマージンが適切か情報の開示が必要です。

 

雇用安定措置の実施有無をチェック

雇用安定措置の実施状況も確認しておきましょう。

3年以上の就労を希望する派遣労働者に対しては、直接雇用の機会提供や労働者の能力を生かした派遣先を提供しなければなりません。

この雇用安定措置をしっかり実施しているかも改めて見直してみましょう。

 

キャリアアップ教育の実施有無をチェック

派遣事業者は、派遣労働者に対してキャリアアップ教育の実施が義務付けられています。

キャリアアップに関する相談窓口を設けたり、段階的かつ体形的な教育計画を策定している、などの条件を満たさなければなりません。

労働者派遣事業報告書においても、キャリアアップ教育内容や実施した時間など細かい入力項目があるので、自社での実施状況を把握しておきましょう。

 

労働条件、就業条件、派遣料金の説明が適切かチェック

派遣労働者と契約をかわす際には、派遣先の労働環境や、勤務時間、残業代、各種手当の有無などの条件を派遣労働者が把握できるよう、派遣前に詳細を説明することが義務付けられています。

就業開始前に両者間で合意をとっておかなければ、後々のトラブルに発展する可能性もあるので、派遣労働者に分かりやすく説明するようにしておきましょう。

 

社会・労働保険の加入手続き有無をチェック

自社で抱える全ての派遣労働者に対して、正しく社会・労働保険の加入手続きが行われてるかを確認しておきましょう。

加入ができていなかったり、正しい手続きができていなかったりすると違反となってしまいます。

 

労働者派遣事業報告書の作成が大変なら人材派遣管理システムを利用しよう

毎年作成が必要な労働者派遣事業報告書ですが、報告内容はとても細かく、派遣労働者の状況や自社の取り組みなどを把握しておく必要があることが分かりました。

煩雑な情報整理や管理をおこなう担当者はストレスを抱えることもあるでしょう。

そんな時には、人材派遣管理システムを利用することをおすすめします。

 

人材派遣管理システム

人材派遣管理システムとは、派遣事業における業務をシステム上で一元管理できるシステムです。

勤務状況の管理やデータの統合、法務周りのアラートシステムなど、便利な機能を多く搭載しています。

 

労働者派遣事業報告書に対応したSTAFF EXPRESS(スタッフエクスプレス)

人材派遣管理システムの中でも「STAFF EXPRESS(スタッフエクスプレス)」であれば、マンパワーでは時間も労力もかかってしまう労働派遣事業報告書もボタンひとつで正確に作成する機能が用意されています。

STAFF EXPRESS(スタッフエクスプレス)では、日々登録した情報を必要項目に合わせて書き出してくれるので、ひとつひとつ手入力でまとめていく必要はありません。

例えば、報告対象期間の請求金額から売上金額を算出し売上高の項目に反映したり、勤務実績の記録から人数を自動算出したりと、全て自動で正確な数値が割り出されます。

これらは対応できる内容の一部ですが、STAFF EXPRESS(スタッフエクスプレス)は労働者派遣事業報告書に記入が必要な全てのデータを管理することができるので、とても簡単に報告書を作成することができます。

 

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その他にも人材派遣管理システムはたくさん!最適なものを選ぼう

STAFFEXPRESS(スタッフエクスプレス)の他にも、数多くの人材派遣管理システムがあります。

労働者派遣議場報告書の作成を機に、自社の事業規模や状況に合わせて最適なシステムを検討してみてはいかがでしょうか。

各人材派遣管理システムの費用や機能を徹底比較した記事もぜひ、チェックしてみてください。

関連記事:
【比較】人材派遣管理システム18選!費用?機能?何で選ぶ?

 

労働者派遣事業報告書をミス無く作成していきましょう

労働派遣事業報告書は多くの報告事項があり、とても煩雑な作業であることが分かりました。

さらに、間違った内容で作成してしまうと罰則を受けるリスクもある重要な報告書になります。

毎年、提出が必要な重量な書類のためミスなく作成し、しっかり期限を守って提出するよう心がけましょう。

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